令和6年度大阪大学基礎工学部システム科学科知能システム学コース編入合格体験記

はじめに

はじめまして,はるるです.

令和6年度大阪大学基礎工学部システム科学科知能システム学コースの編入試験を受けて合格することができました.自分が勉強をするときに資料の少なさに苦労しました.その経験から合格体験記を書こうと思いました.併願校のことについてもせっかくなので載せておきます.そちらについても参考になればうれしいです.

この記事では時系列に沿って,自分の5年間の学生生活や大まかな勉強スケジュールを書いています.教科ごとの詳しい勉強内容は以下の記事に書きました.

自己紹介

  • 出身:神戸高専電子工学科
  • 成績:1年8位,2年17位,3年17位,4年14位
  • TOEIC:775点(Listening 420,Reading 355)
  • 部活:野球
  • 得意科目:電気電子回路系,制御系
  • 趣味:バイオリン,電子工作

受験した学校と結果

以下は受験した学校と志望順です.

  1. 大阪大学基礎工学部システム科学科知能システム学コース(合格)
  2. 神戸大学工学部知能情報工学科(出願のみ)
  3. 京都工芸繊維大学工芸科学部設計工学域電子システム工学課程(合格)
  4. 神戸高専専攻科電気電子工学専攻(合格)

受験まで

科目ごとの詳しい勉強内容などは後日別記事にまとめようと思います.書いたらリンク貼っときます.

受験の動機やモチベーションにつながるところもあるので,少し長いかもしれません.受験に直接参考になるのは4年冬以降の内容だと思います.それ以外は興味ない方は読み飛ばしていただければと思います.

1-3年

部活尽くしの毎日でした.高校野球しんどかった.でも,この経験がとても受験に活きたと思います.正直受験勉強より高校野球のほうが100倍しんどかったです笑.

高校野球引退後,3年の1月ぐらいに,学校でPICマイコンの実験をやりました.このとき,僕は初めてマイコンというものの存在を知りました.そして,「こんな面白いものがあったのか」と思いました.これを境に,僕は野球少年から電子工学エンジニアになりました.以降,専門分野に興味を持つようになっていきます.

4年冬まで

PICの実験のあと,まずはプラモデルを改造して,中の回路まで全部自作の戦艦ラジコンを作りたいと思いました.そのために,バイトで貯めたお金で電子工作に必要なものを購入し,自宅に実験室を作りました.4年の春休みはラジコン製作のための勉強(通信工学,電気電子回路など)と簡単な電子工作を一日中していました.

春休み明け,今まで全然勉強してなかった僕が急に専門ムキムキマンになってました.一番驚いていたのはクラスメートでした.学校が始まってからも電子工作を続けました.

夏休みには大阪大学工学部の電子情報工学科にインターンに行きました.研究内容などは書けませんが,高専よりはるかにレベルの高い研究や環境に圧倒されました.もともと進学したいなあとは思っていましたが,阪大への進学を意識しだしたのはこの頃からでした.

また,夏休み中頃には電子工作の技術がだいぶついてきて,戦艦ラジコン製作を本格的に始めました.最終的に完成したのは10月末の高専祭前でした.この戦艦ラジコン製作については後日また別の記事にまとめたいと思っています.

4年冬

12月頭の後期中間テストが終わったあと,そろそろ編入の勉強しないとやばいと思いました.このときはまだ志望校が決まっていませんでした.とりあえずTOEICの勉強と編入数学徹底研究を始めました.ただ,最初はだらだらやっていてあんまり身になっていませんでした.

冬休み明けの01/11,学校で集団受験のTOEIC IPがありました.425点でした.さすがに焦りました.これ以降,03/19のTOEIC公開テストで700点を超えられるように本気で勉強することを決めました.

02/26のTOEIC公開テストまでは数学の勉強は一切せず,全てTOEICに捧げることを決めました.01/29のTOEIC公開テストの点数は495でした.点数はあまりよくありませんが,自分の中で少しずつ成長しているのを感じました.また,このころやっと阪大基礎工を目指すことを決めました.

2月の真ん中に後期定期テストがありましたが,フル無視してTOEICの勉強をしました.2月いっぱいをTOEICに捧げたかいあって,02/26のTOEIC公開テストの点数は695まで上がりました.

4年春休み

02/26のTOEICのあとから数学の勉強を再開しました.春休みの間,勉強時間を可視化するためにStudy Plusで記録を付けました.いろんな勉強方法を試しましたが,休憩するとどうしても長くなってしまって効率が落ちてしまったので,休憩しない法(命名自分)でいきました.これをするようになってから,一日12時間ぐらい勉強するようになりました.

03/19に最後のTOEIC公開テストを受験しました.結果は775点でした.結果が出たときは嬉しくて叫んでたと思います.英語の筆記試験があるところを受験する予定はなかったので,英語との戦いはこれで終了しました.

ちなみに阪大基礎工は4年の3月までのTOEICしか見てくれません.要は新しすぎるのはだめだということです.自分はたまたま3月のTOEICを提出できましたが,4月のTOEICを提出して認められなかった人が自分の周りや試験会場に少なからずいました.これめっちゃ重要なので気をつけて下さい.

春休みが終わるころには数学の基礎固めが終わり,編入数学過去問特訓と大学生の初等力学を始めました.

5年

5年生に上がってから,電子回路と現代制御以外の授業時間はすべて内職になりました.それでも,先生たちは僕のことをめっちゃ応援してくれてました.感謝しかありません.

知能システム学コースは,物理が力学・電磁気・熱力学の3つから2つ選択です.基礎工情報科学科に合格した先輩からアドバイスをもらい,力学と熱力学の2つを選ぶことにしました.熱力学は名問の森で対策しました.

5月の真ん中ぐらいから専門の勉強を始めました.自分は制御工学と電気電子回路を選択しました.(来年から知能システム学コースは専門がなくなるので詳しいことは割愛します)

5月末の前期中間テストは全捨てしました.全教科の平均が64.9点という,過去最低を15点ほど更新するひどい点数になりました.

〜VS専攻科(06/17)

06/17の専攻科入試に向けて,2週間前から専攻科の対策を始めました.専攻科の受験科目は数学・電磁気・電気回路の3つです.

先程書いた通り,阪大基礎工の物理では電磁気をとらない選択をしたため,電磁気はほぼノータッチでした.また,基礎工の専門の電気電子回路はほぼオペアンプなので,電気回路もほぼノータッチでした.

専攻科は回し合格狙いにしても良かったと思います(あるかどうかはわかりませんが).でも,定員3-4人に対し,電気科から5人,電子科からは自分1人だったため,学科のプライドを懸けて合格したいと思いました.

そのため,2週間は気が狂ったように勉強しました.2週間しか時間がないので,電磁気・電気回路ともに基礎を完璧にすることに努めました.過去問は時間を測って4年分解きました.

今思えばこの2週間の勉強が後の京都工芸繊維,阪大基礎工にとても役立ったと思います.

試験について

当日は1時間前に着くように行きました.開始30分前ぐらいに講義棟3Fの合同講義室に案内されました.周りは知っている人ばっかりでなんか面白かったです.

数学

いつもの専攻科といった感じでした.専攻科の数学はベクトルの問題がよく出ます.ただ,高校範囲の解き方こだわる必要はありません.線形代数の力を使えばいいと思います.特に,正射影や正規直交化などはしっかり押さえておきましょう.

得点率8.5割ぐらいだと思います.

専門(電磁気・電気回路)

電磁気は完全に捨てていた電磁波が出ました(大学でもあまりでないため).媒質中の電磁波の波長を求める問題と,Maxwell方程式から波動方程式を導出する問題でした.前者は公式を覚えてなくて解けませんでした.しかし,後者は過去の記憶を呼び起こすことで奇跡的に解けました.

電気回路は標準的で簡単な問題でした.

得点率は電磁気8割,電気回路10割ぐらいだと思います.

面接

3人まとめての集団面接で

  • 志望理由
  • 専攻科卒業後の進路
  • 併願校

を聞かれました.特に深い質問はなく,秒で終わりました.

結果

合格でした.開示行ったら合格者平均超えてました.数学で3問ぐらいミスったから絶対落ちたと思ってました.普通にびっくりしました.

~VS京都工芸繊維大学(07/01)

専攻科で合格をもらったこともあり,基本は阪大基礎工に向けた勉強をしました.

1週間前から基礎工の勉強の合間に工芸繊維の過去問を解きました.物理は力学と電磁気が確定で,過去3年でみると熱力学が2回,波動が1回でした.熱力学が出てくれることに賭け,波動は完全に捨てることにしました.

試験について

祖父母の家が京都にあるので,そこで前泊してから向かいました.例によって試験会場には1時間前に到着しました.

会場に到着して初めて先頭バッターが物理だということに気付きました.試験始まるまでは寝たり音楽聞いたりして休憩してました.

物理

過去問と比べて難化したと思います.記述はなしで答えのみ書くタイプだったのでひたすらに計算ミスが怖かったです.

力学は円盤の慣性モーメントの導出と,ボールがバットに衝突する問題でした.この2つ目が曲者で,バットの質量が直接的に与えられていなかったりして解きにくそうだったのであと回しにしました.解答時間が余らななったのでここは白紙になりました.

電磁気は影像法とガウスの法則を使って直線状電荷がつくる電界ベクトルを求める問題と,直線状電流がつくる磁界ベクトルを求める問題でした.極座標ではなく直交座標で解答しなければいけなかったので,計算ミスが怖かったです.(専攻科対策で影像法勉強しててよかった)

ラストは波動が出ました.この瞬間落ちを覚悟しました.しかし,高校物理の波動ではなく,波動方程式を誘導に従って解く問題でした.つまりただの数学です.4年の応用数学で波動方程式を解いた記憶を必死に呼び起こしました.たぶん完答できたと思います.覚えていた自分にびっくりです.(ちなみに応用数学の担当が研究室の先生です.本当に感謝してます.)

数学

本当に簡単でした.1問だけ計算ミスしてしまいましたが,それがなければ満点だったと思います.

電気回路

こちらもとても簡単でした.例年通り誘導に乗りながら穴埋めしていく問題でした.この誘導の日本語が丁寧で無い場合もあるので,併願の人でも軽く過去問を解いておくことをおすすめします.

おそらく満点近い点数だと思います.

結果

合格でした.倍率5倍近かったのと物理で死んだからさすがに落ちたと思っていたのでびっくりです.阪大基礎工に合格もらった後でしたが,普通に自身になって嬉しかっです.

〜VS大阪大学基礎工学部(07/08-07/09)

工芸繊維終了後からの1週間は,確率の参考書の解き直し,物理・専門の過去問の解き直し,オペアンプ回路の見直しだけをやりました.

ここまで来るともうできることは少ないので,疲れを溜めないようにしたり,3食きちんと食べることを意識したりと体調管理に努めました.

試験について

豊中キャンパスは高専に行くより近いので,普通に家から向かいました(やっぱり慣れ親しんだ布団で寝ることが最高).1時間半前に着くように会場に行ったら早すぎました.余裕の一番乗りでした.特に勉強することとかもないので,同じように早く会場についた人と交流してました.

数学

例年通り解析・線形代数・確率の大問3つ構成でした.

大問1は積分の形で関数が与えられ,それに沿って少しややこしめの文章で書かれた問題を解いていくものでした.書き方が難しいだけで,文章と与えられた定義の意味さえ理解すれば,あとは何ら難しい問題ではありませんでした.解答の1ステップとして条件付き極値を求めないといけない問題がありましたが,ラグランジュを使うと明らかに時間が足らないことがわかったので,予想した極値を使って記述しました.厳密性が欠けるので確実に減点にはなりますが,それでも解答を書かないよりはマシです.編入試験では,時にはこのように記述をはしょることも大切です(お世話になった数学の先生が言っていました).出来は8割ぐらいです.

大問2はいつもの対角化と,それを使って行列指数関数を求める問題でした.対角行列を使った行列指数関数の求め方がわからなかったので,現代制御で習った\(sI – A\)の逆行列を逆ラプラス変換する方法で求めました.出来は10割だと思います.

大問3は球を取り出す条件付き確率と,それを使って面白いことをする問題でした.令和5年の確率が難しかったのでビビッてましたが,今年は簡単になってくれて助かりました.こちらも出来は10割だと思います.

物理

剛体の力学・電磁気・熱力学から2つ選択で,自分は剛体の力学と熱力学を選択しました.

力学は坂を転がる球体でした.小問8問構成で,前半5問ぐらいは基本的な問題,残り3問は初めて見るけど解けるなあというぐらいの問題でした.ただ,練度が足りなくて完答できませんでした.出来は7割ぐらいだと思います.

熱力学はディーゼルサイクルについての問題でした.最後,熱効率を求める問題でしたが,最後符号を逆に書いてしまって1超えてしまいました.やらかした.出来は7割ぐらいだと思います.

専門

自分は制御工学(古典制御)と電子回路(オペアンプ)を選択しました.来年から知能システム学コースは専門の試験がなくなるそうです.僕はこの専門の試験があったから合格できたし,阪大基礎工を受験した理由でもあるので少し寂しい気もします.

詳しい内容については来年以降の受験者の参考にはあまりならないと思うので割愛します.質問があったらTwitterででも聞いていただければと思います.出来は9割ぐらいだと思います.

面接

面接官は5人で,一人ずつ部屋に呼ばれていくシステムでした.入った瞬間,ヒューマノイド型ロボットの研究で有名な石黒先生が目の前に鎮座していました.阪大の先生方はみんなオーラがすごかったです.

聞かれた内容は以下の通りです.

  • 志望動機
  • 試験の出来
  • 自己PR
  • 卒業研究について
  • 行きたい研究室
  • 大学でやりたいこと
  • 大学卒業後の進路

リストにするといっぱいに見えますが,僕の場合は特に会話などはなく聞かれたことに答えて終了みたいな感じだったので,実際の面接時間は5分ほどでした.面接の内容がやばいぐらい薄く,確定演出と言われている「受験票を大切にしてください」の言葉もなかったので落ち込みました.試験の出来はそこそこ良かったと思ってたので,「よくできていたから内容が薄かったんや」と必死に思い込んで合格発表まで過ごしました.

結果

合格でした.合格発表は担任の先生の授業中で,クラスメートみんなに見守られながら受験番号があることを確認できました.5年間の積み重ねが実った瞬間でした.本当に嬉しかった.ずっと応援してくれたクラスメートには感謝しかありません.

編入試験を終えて

最後に,編入試験を終えて気付いたことと自分の感想を書いておこうと思います.(つまりひとりごと)

併願校も含め,僕が編入試験に合格することができた理由は以下のことがあると思います.

  1. 趣味の中に専門科目があったこと
  2. 5年間,定期テストだけで終わらないテスト勉強をしていたこと
  3. 授業を割と真面目に聞いていたこと
  4. 勉強が楽しいと思えること
  5. 部活で受験以上にしんどい経験をしていたこと

特に2.と3.の2つは大きかったと思います.僕の学校のテストの成績を見てもらえばわかると思いますが,自分は決して成績がいいと言える成績ではありませんでした.しかし,2.と3.の2つを大事に4年間過ごしたので,編入の勉強をとてもスムーズに進めることができました.だから,学校の成績が良くなかったとしても,自分の積み上げてきたことに自信があれば勇気を持ってチャレンジしてみてください!

最後になりましたが,ここまでこの長い記事を読んでいただいてありがとうございました.僕の経験が一人でも多くの人の参考になれば嬉しいです.

冒頭にも書きましたが,後日編入試験の詳しい勉強内容について別の記事にまとめる予定です.

また,何か質問があれば僕のTwitterのほうに気軽に連絡ください.よろしくお願いします.

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